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【元戦略コンサルが解説】ケース面接とは何か?例題・解き方・選考対策の基本

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ケース面接とは何か?

転職サイト/就活サイトの中の人 (@tennakanohito)です。ケース面接とは、主に戦略系や外資系のコンサルティングファームを応募する際に行われる、難易度が高い特殊な面接です。
具体的には下記のような問題(ケース)が出される面接です。

 

「サイゼリアの売上を2倍にする戦略を考えてください」

「国家とは何か?100年後の国家がどうなっているか科学技術とグローバル化の発展を考慮して考えよ」

 

一般的なケース面接では、下記の流れで行われます。

  1. 上記のケースを受験者はまず制限時間(5~10分程度が多い)でアウトプットをまとめるよう指示されます。
  2. ちなみに問題の前提を確認する上で、面接官に質問することは許可されています。
  3. 制限時間が経つと、面接官にあなたがまとめた考えを発表されるよう求めます。
  4. そしてあなたの考えを基に20~30分程度の間、面接官から質疑応答を受けたり、ディスカッションすることになります。

 

 

ケース面接に対策なしで臨むと、誰でもまず撃沈します。

 

そのため、コンサルティングファーム、特に戦略系ファームを入社志望する方は、「ケース面接」の対策は時間をかけしっかり行うことが必要です。

今までtwitterで対策のポイントをつぶやいてきましたが、今日はそれを一つの記事にまとめ、詳しく解説します。

 

【執筆者】
転職サイト/就活サイトの中の人

某転職サイトと就活サイトを運営する会社の役員(CxO)です。元コンサルタント。人材業界10年目で自分も4回転職。転職市場はブラックボックスが多い事に問題意識を感じ、本サイトにて「忖度なく」知っている事を話します。twitterフォロワーは合計10,000名超。
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twitter:転職サイトの中の人

 

なぜケース面接を実施するのか?

コンサルタントとして一緒にプロジェクトを進められるかどうか、優秀で戦力になるかを、「実際の仕事にかなり似た形」で細かく確認できるからです。
なぜなら、コンサルタントの仕事は、ほぼこのケース面接で出るようなお題に、実際に取り組むことが仕事だからです。

例えば私が過去に取り組んだことがある案件の一例は、以下のようなものです。

 

「小売A社の売上を5年間で1兆円から2倍の2兆円に拡大する成長戦略を立ててほしい。」
「メーカーB社には子会社8社がある。この子会社8社を統廃合すべきか検討してほしい。」
「中国にC社というIT系会社がある。この会社を買収すべきか検討してほしい。」
「我が国の高等教育水準を上げるための課題と基本戦略をまとめてほしい。」


ケース面接で出るお題と、ほぼ一緒かと思います。

 

ちなみに私は、小売・メーカー・中国市場・高等教育・・・どのテーマも初めて取り組む分野でした。業界知識はありません。
4つ目の案件例のクライアントは官公庁です。トップのファームだと、稀に「我が国の幸福を高めるには?」のような抽象的すぎるプロジェクトに実際に遭遇する事もあります。「幸福とは何か?」と聞かれて「知らんがなww」と思う人も多いと思うんですが、まさにこういうプロジェクトにコンサルタント、特に戦略コンサルタントは取り組むことになります。

 

また、よくケース面接とセットで語られる「フェルミ推定」は、実際のコンサルタントのプロジェクトで頻繁に使います。
例を挙げると、

  • ある業界の市場規模とその企業のマーケットシェアを推定する時
  • 競合企業のある事業の売上を推定する時
  • ある新商品の販売数を推定する時
  • etc

だから、「フェルミ推定ができる」ということもコンサルタントの仕事に必須だということです。

ケース面接で、面接官はどこを見ているのか?

コンサルタントの仕事に必要なのは「論理的思考力」「コミュニケーション力」です。
この2つを主に見ています。比重としては3:1か4:1ぐらいでしょうか。

コミュニケーション力も見ている理由は、コンサルタントはチームプレイであり、サービス業だからです。
良い分析でも上から目線だと、仲間にも顧客にも納得されません。またお客様から嫌われると良い仕事ができません。特に常駐案件で顧客に嫌われてしまうと致命的です。逆に「いいヤツ」なら少し地頭で劣っても、バリューが出ます。顧客や仲間に信頼されているからです。

もちろん、あくまで「優れた頭の良さ」があった上でコミュニケーション力は求められます。いいヤツならコンサルに受かる、ということは絶対に無いです。
「頭がとても良いけど感じもいいヤツ」をコンサルティングファームは求めています。完璧超人ですね。

ケース面接では、どこまでのアウトプットを求めているのか?

ケース面接で「●●の売上を2倍にして下さい」というお題が良く出ますが、実は面接官も制限時間内に2倍にできません。そう、本当に2倍にできるプランまでは、実は求められていないのです。
よく考えれば、そんな簡単に2倍にできたら日本経済は安泰ですよね(笑)

つまり、これは結果以上に「思考プロセス」「質問やつっこみ後にどれだけ議論を発展できるか」から学生の力量を見る為のブラフということです。
面接官は、入社後に成長すれば「売上を2倍にできるプランを実際に立てれる人材」かどうかを試している、ということです。

 

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ケース面接の基本的な解き方

では、ケース面接ではどのようなアプローチでお題に取り組んでいけばよいでしょうか?
中の人としては、どんなお題でも下記の流れで取り組むと良いと考えます。

1)お題を具体定義

2)構造分解

3)肝となる変数群の発見

4)肝となる変数群に選択と集中して施策立案


実は、この思考プロセスは「問題解決思考(プロブレム・ソルビング・シンキング)」の代表的なアプローチです。

「国民の幸福度を上げるには?」みたいな抽象的なテーマも上記の流れで問題解決できます


具体例をお見せしたほうが分かり易いので、以下に紹介しましょう。

ケース面接の解き方の実例 ー売上向上系ケースの場合ー

××の売上を2倍にするには系のケースのコツは、

  • ××を具体的に定義し
  • その上で売上構造を分解し
  • その上で肝となる変数群を発見する

ということです

お題例

「サイゼリアの売上を2倍にする戦略を考えてください」

解き方例

【1:お題の具体定義】

まず、お題の内容を具体的に「定義」しましょう。
なぜなら、特定の店舗の売上か、全社の売上か、で前提や戦略が大きく違うからですね。
ここでは面接官に確認しつつ「東大の近くの本郷三丁目にあるサイゼリアの売上を考えることにする」などのような具体性で定義をまず置きましょう

 

【2:構造分解】

以上の具体定義を置いたうえで、売上を構造分解していきます。例えばですが、

 

・平日の売上 = 席数 × 満席率 × 回転率 × 単価 × 営業時間
・休日の売上 = 席数 × 満席率 × 回転率 × 単価 × 営業時間

 

このように構造分解します。
実際のケース面接では、もう少しだけ構造分解するかもしれません。
ちなみに構造分解するときに意識すべきは、サイゼリアの本郷三丁目の店舗をよくイメージした上で「肝となる変数群」が出やすいように分けます。

 

【3:肝となる変数群の発見】と【4:肝となる変数群に選択と集中して施策立案】 

そして分けたうえで、実際の店舗をよくイメージしつつ「肝となる変数群」とそこに選択と集中して「施策群」の案を出すのです。

例えば、少し考えれば以下のような変数と施策の案を出すことができます

 

 1)「営業時間」が肝となる変数ではないか
  →仮に現在の営業時間が14時間だとしたら、それを24時間にすればそれだけで30-50%ぐらい伸びるかも?よって、ここは重要な変数である。
 2)「席数」「回転率」が肝となる変数ではないか
  →もし平日ランチタイムの満席率が100%だとしたら、席数を少し増やしたり、早く店を出るように促すだけで、売上があがるかも?よって、ここは重要な変数である。
 3)「休日の売上」が肝となる変数ではないか
  →本郷三丁目は学生とオフィスがメインのエリアだから、休日のオフィス客は激減する。では、休日は近隣に住む学生がサークルや部活などで複数人で来やすくするクーポンや特別メニューを用意すれば売上が上がるのでは。ここは重要な変数である。

 

補足解説

上記で出す施策案は、実際に100%当たらなければいけないわけではありません。仮説でOKです。実際のコンサルティングで取り組む場合でも、このように仮説を出した後に本当に上がりそうか調べたり検証します。リサーチすればすぐわかりますから。

ここで重要な事は、この「肝となる変数群」の"あたり"をつけられることです。これがコンサルタントの最大の提供価値です。
このような思考プロセスを「自主的に」「早く」「多く」「正確に」できそうか、が受験者に求められていることです。
時間配分としては、以上のようなアウトプットの70%位までを最初の制限時間5~10分の間でまとめてあれば、まあ及第点でしょうか。
後は面接官(コンサルタント)とのやりとりの中で上記の状態に仕上げたり、更に深めることができれば良いかな、と思います。

 

※ケースの解き方について更に理解を深めるため、抽象的なケースの場合の解き方例も、後日追記します。 

 

ここからは細かいtipsについて解説します。

 

 

 

ケース面接の構造分解のポイント

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構造分解するときのポイントは、問題についてMECE(漏れもなく、ダブりなく)に分解することです。
また構造分解するときに、3C、5Forces、売上=客数×単価、などのよくあるビジネスフレームワークを使っても、それを使うのが適切な場面であればOKです。むしろ使うのがベターな場面が多くあります。代表的なビジネスフレームワークは押さえるとよいでしょう。

 

ただし、ビジネスフレームワークはあくまで構造分解の「手段」です。
使ってもうまくMECEに分解できない時は、むしろ使わないでください。

特に抽象系ケースの場合は、ビジネスフレームワークがむしろ使えない場面も多いです。そういう時は独自のフレームワークを自分で作ってください。
それが求められていることです。

 

実はコンサルタントの仕事は本質的に分析するために、フレームワークを作ることが日常的に求められます。例えば、5Forcesも、その事業の業界構造が複雑ならば6Fや7Fが良い時もあります。逆も然りです。業界構造がシンプルならば3Fになるときもあります。

よくあるケース面接の落選例ですが、GDやケース面接でフレームワークをfitしない場面でもとにかく闇雲に使うだけの人は「本質的に分析できないんだな」と判断されます。

構造分解の手段として適切なときだけフレームワークを使う。

適切ではない時は使わない。

最後は自分の頭で考えて編み出す。

これを心がけてください。

 

ケース面接における面接官とのコミュニケーションのポイント

ケース面接では、面接官から色々鋭い質問が飛びます。
これを厳しいツッコミではなく素晴らしいフィードバックと捉え、自分の考えを膨らませる事が実は求められているコミュニケーションです。

 

ケース面接は、「先輩コンサルタントとの最初で最小のプロジェクト」です。
面接官は敵ではなく「仲間」です。
だから、面接官の妥当なツッコミに無理に防衛しようとするとまず落ちます。

 

特に論破君は最悪です。そういう方は、一緒に働けないし、顧客を納得させることはできないと面接官に捉えられます。
そもそも、「コンサル=論理」という考え方自体、MECEではないのです。大きな見落としをしてます。
なぜなら、論理的にだけ正しい戦略や企画があったとしても、「人」の気持ちを動かさないと戦略や企画は実行されない。つまり成果が出ないからです。だからデキるコンサルタントは、論理と感情と政治を踏まえて企画を提案してます。論破君がGDやケース面接で落ちる理由はこういう理由です。

 

ちなみに戦略ファームのジョブの参加者は口を揃えて、「ジョブの参加者は皆穏やかな性格の人ばかりでイキるような人は皆無だった」、と言います。すなわち、戦略ファームの選考では「地頭」に加えて「人間性」も兼ね備えていることが見られているということです。
良く考えれば分かりますが、イキる人では人を動かす提案はできないからですね。

 

ケース面接の良い練習方法は?

ケース面接対策本、フェルミ推定本解くだけでなくて、実際に「多くケース面接に行き突っ込まれる」ことを中の人としては推奨します。
もちろん、ケース面接対策本、フェルミ推定本を読むことは「絶対必要条件」です。
読んだことない人は速攻で2,3冊位買い、何度も読み、ケースを解く自主練習をしましょう。

 

ただ上記で紹介したように、本だけでは面接官の突っ込まれた時のリアクションや、面接でコミュニケーション力を発揮する練習はできません。

特に最近ではフェルミ推定本が出回ってる分、みんな構造化はできるので差があまりない、と面接官は感じて始めています。
そこで面接官は就活生の素の地頭を見るため「突っ込んだ後の反応を見る」比重を高めている印象です。
だから最終的にはケース面接の実践を多く積むことが、選考突破のポイントです。

中の人の推奨本については、後日まとめて紹介します。

トップファームのケース面接を突破するには、ケース面接本以外のビジネス知識・ビジネス経験を付けるべき

なぜなら、「構造分解」や「肝となる変数群の発見」は、ビジネス知識・ビジネス経験があるほどより効率的に深く行うことができるからです。

もちろん、先ほど紹介しました「問題解決思考」の基本を押さえていることが前提です。いくら知識や経験があっても、考え方のプロセスが正しくなければ無意味です。

 

ケース面接のFBをすると、「これビジネスの基本知識無いと解答できないですよ…」と時々言われます。
同じように思った人は戦略コンサルを志望しているのにビジネスの基本知識を自分から興味を持って学んで無いという矛盾に早く気付くと良いです。
そもそも戦略コンサルは興味がないのに乗り切れるほど甘い仕事ではないです。

 

ビジネス知識がまだ浅い方におすすめなのは、「企業参謀」「戦略プロフェッショナル」などの小説形式に近いコンサル本を読むことです。
とても面白いので、サクサク読みつつ、戦略やビジネスの基礎知識がつきます。
ちなみに読むとコンサルタントの凄さをすぐ実感できるので、志望動機が高まることでしょう。「コンサルタントSUGEE」という気持ちにさせてくれます。コンサルへの志望動機に迷いがある方にもオススメします。

特に「戦略プロフェッショナル」は小説仕立てなので読みやすいです。

 

「ケース面接対策ができるエージェント」に練習してもらう事が、戦略コンサル入社の最短ルート

最も手っ取り早い対策方法は、「ケース面接対策ができるエージェント」を見つけ出すことだと思います。

ケース面接対策は戦略コンサル入社で最も重要ですが、世の中の大半のエージェント(特にリクルート・DODAなど大手)は実はケース面接対策ができません。

私が知りうる限りでは、日本でケース面接対策ができるエージェントはほんの数社しかありません。なぜなら、ケース面接の選考対策ができるのは戦略コンサルタント経験者だけだからであり、元戦略コンサルで現在転職エージェントをしている方はごく僅かだからです。

(エージェント例:アクシスコンサルティングムービン コンコードなど)

 

下記の記事で、日本でケース面接対策ができる希少なエージェントを紹介していますので、是非相談してみてください。

www.jobdirect.jp

 

最後に:ケース面接の練習は、実際にコンサルタントになったときに直接役立つ

改めてですが、「XXの売上を2倍にしてください」「国家の幸福度を上げるにはどうすればよいか」、こういう難問に実際に取り組むことになるのがコンサルタントです。
だから、ケース面接やフェルミ推定のトレーニングは入社後にダイレクトに役立ちます。すなわち、今練習すると将来の自分のためにもなるのです。
是非自分事として取り組んでみてください。損はしないはずです。


また、ケース面接についてもう少し相談したい方はtwitter(転職サイト/就活サイトの中の人 (@tennakanohito))で、中の人まで是非聞いてみてください。

 

 

【参考】コンサルティングファーム各社の選考対策方法・転職成功方法・面接内容・面接フロー

以上、色々解説してきましたが本サイトでは、他のコンサルティングファームを受ける際の「選考対策」「面接内容」「選考フロー」「使うべき転職エージェント・転職サイト」について順次解説しています。興味がある方はこちらの記事も参考にしてください。

 

【元社員が語る】コンサルティングファーム各社の選考対策方法・面接内容・選考フロー

【元コンサルが語る】コンサルティングファームに転職する際の基本的な対策方法、選ぶべきエージェント

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